「次、俺と津田抜けていい?」
「え!?」
西藤くんの言葉に驚きの声を上げたのは、あたしじゃなくメグちゃんだった。
もちろん、あたしもびっくりしたけど…。
「ん?ダメか?」
「…ダメじゃないけど…何で?」
「特訓!ダメじゃないなら、津田借りるわっ」
ぐいっ
「えっ!?」
西藤くんは、あたしの腕を掴んで歩き出す。
ちらりと見たメグちゃんの顔が、少し怖く見えた。
メグちゃん…西藤くん好きだもんね。
でも、あたしだって、好きでこんな状況になったわけでは…。
なのに、
胸がドキドキするのは、この状況が嬉しいから?
諦めちゃ勿体ない。
諦めたらそこで終わり。
確かにそうだよね…。
奪っちゃうって手も1つ…。
あたしは自分の前を行く西藤くんを見上げた。
胸が苦しい…。
やっぱりあたしは奪えない。
“友達”と言ってくれた西藤くんを裏切れない。
西藤くんが今、藤堂先輩と幸せならそれで、
それでいいんだ−…。



