ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*


「次、俺と津田抜けていい?」
「え!?」

西藤くんの言葉に驚きの声を上げたのは、あたしじゃなくメグちゃんだった。

もちろん、あたしもびっくりしたけど…。

「ん?ダメか?」
「…ダメじゃないけど…何で?」
「特訓!ダメじゃないなら、津田借りるわっ」

ぐいっ

「えっ!?」

西藤くんは、あたしの腕を掴んで歩き出す。

ちらりと見たメグちゃんの顔が、少し怖く見えた。

メグちゃん…西藤くん好きだもんね。

でも、あたしだって、好きでこんな状況になったわけでは…。

なのに、

胸がドキドキするのは、この状況が嬉しいから?


諦めちゃ勿体ない。

諦めたらそこで終わり。


確かにそうだよね…。
奪っちゃうって手も1つ…。

あたしは自分の前を行く西藤くんを見上げた。

胸が苦しい…。


やっぱりあたしは奪えない。

“友達”と言ってくれた西藤くんを裏切れない。


西藤くんが今、藤堂先輩と幸せならそれで、

それでいいんだ−…。