キーンコーンカーンコーン…
「苺先輩、鳴っちゃったっすよ!?」
「あ…うん」
半分も食べられなかったお弁当を、片付ける。
お母さん、ごめんなさい。
「苺ちん、全然食べてないじゃん!大丈夫ぅ?」
「うん、ありがとう」
あたしはにっこり笑う。
「じゃあ、戻るね~♪」
そう言って、メグちゃんは自分の席に戻った。
「じゃあ俺も戻るかなー」
翔くんは立ち上がると、一度あたしの顔をじっと見つめる。
「苺先輩、ちょっとこっち来て」
「えっ!?」
腕を持たれて、移動する。
何だろう…。
翔くん、早く戻らないと時間が…。
ちょうど教室を出た所で、翔くんは足を止めた。
びくっ
翔くんはあたしの頬より上…目より下に手を当てた。
「な、何っ?」
「苺先輩…大丈夫?」
「え?」
「泣いたでしょ?何かありました?」
かあぁぁっと、顔が赤くなるのが分かる。
落ち着いてから来たのに…。
赤くなった目が、元に戻ったと思ったから、教室に戻ってきたのに…。
黙り込んでしまったあたしに、翔くんは笑いながら頭を撫でた。
「まぁ、なんかあったらいつでも言ってください。じゃあ、俺急がねぇと…」
「うん…」
「また放課後に来るっすから!」
そう残して、翔くんは長い廊下を走って行った。
本当…どちらが年上なんだろう。
あたしが子供なのかな…。
体だけじゃなくて、あたし心も子供なんだね…。
ふと、また2人の会話を思い出した。
諦めちゃ勿体ない。
諦めたらそこで終わり。
あたしのした事は間違いなの…?
諦めなければあなたは振り向いてくれますか…?
せっかく西藤くんが“友達”って思ってくれているのに…。
決心が揺らいでしまいそうだった。



