ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*



キーンコーンカーンコーン…

「苺先輩、鳴っちゃったっすよ!?」
「あ…うん」

半分も食べられなかったお弁当を、片付ける。
お母さん、ごめんなさい。

「苺ちん、全然食べてないじゃん!大丈夫ぅ?」
「うん、ありがとう」

あたしはにっこり笑う。

「じゃあ、戻るね~♪」

そう言って、メグちゃんは自分の席に戻った。

「じゃあ俺も戻るかなー」

翔くんは立ち上がると、一度あたしの顔をじっと見つめる。

「苺先輩、ちょっとこっち来て」
「えっ!?」

腕を持たれて、移動する。

何だろう…。
翔くん、早く戻らないと時間が…。

ちょうど教室を出た所で、翔くんは足を止めた。

びくっ

翔くんはあたしの頬より上…目より下に手を当てた。

「な、何っ?」

「苺先輩…大丈夫?」

「え?」

「泣いたでしょ?何かありました?」

かあぁぁっと、顔が赤くなるのが分かる。

落ち着いてから来たのに…。
赤くなった目が、元に戻ったと思ったから、教室に戻ってきたのに…。

黙り込んでしまったあたしに、翔くんは笑いながら頭を撫でた。

「まぁ、なんかあったらいつでも言ってください。じゃあ、俺急がねぇと…」
「うん…」
「また放課後に来るっすから!」
そう残して、翔くんは長い廊下を走って行った。


本当…どちらが年上なんだろう。

あたしが子供なのかな…。

体だけじゃなくて、あたし心も子供なんだね…。



ふと、また2人の会話を思い出した。


諦めちゃ勿体ない。

諦めたらそこで終わり。


あたしのした事は間違いなの…?

諦めなければあなたは振り向いてくれますか…?


せっかく西藤くんが“友達”って思ってくれているのに…。


決心が揺らいでしまいそうだった。