ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*



「っ!?」

落ち着いて教室に戻ってきて、あたしは自分の机を見て、固まった。

「苺ちん、どこ行ってたのぉ~?」

と、メグちゃん。

「遅いっすよー」

と、翔くん。

二人は、あたしの机に椅子を持ち寄り、仲良く食事をしていた。

翔くんはまぁ…ほぼ毎日来るからいつもの事として…

「あの…メグちゃん?」
「いやーん、メグちゃんって呼んでくれたぁ♪」
「何であたしの席でご飯食べてるの?」
「だってぇ、同じチームになって、友達なったじゃん♪」

メグちゃんのノリは、ちょっぴり苦手なタイプだ。
由紀ちゃんなら、きっと一発ぐらい殴ってる…なんて。

「苺先輩、早く弁当食わねぇと…」

翔くんの言葉で、自分が今何をしなければいけないか思い出し、席についてお弁当を広げる。

あたしは食べるの、決して早い方じゃないから急がないと…。
メグちゃんと翔くんは、仲良く話しているけれど、会話に加わってる暇はない。

「へー…じゃあ、入学式に苺ちんを1年と間違えたのがきっかけなんだぁ~」
「そうなんすよっ!」

急がないと…。

「でも、ごめんねぇ。二人のラブラブランチタイムを、邪魔しちゃって」

「ごほごほっ!」

あたしは咳こんだ。

「苺ちん、大丈夫!?」
「けほっ大丈夫…っていうか、ラブラブじゃないよっ!」
「ラブラブじゃないっすかぁー!」
「付き合ってないでしょ!」
「ちぇー」

頬を膨らませる翔くん。

「えっ、付き合ってないのぉ?」
「付き合ってないよ!」

あぁ…頭が混乱しちゃう。

「でもさぁ、苺ちんのこと好きなんだよね?」

メグちゃんは翔くんをじっと見つめる。

だから、翔くんの“好き”は…

「はい、大好きです!」

翔くんは、満面の笑みで言った。

「じゃあ、何で付き合わないのぉ?苺ちん、他に好きな人居るとかぁ?」

他に…好きな…人……。

「いないよっ」

居ない、本当にもう-…。
“友達”だから。

「だって♪がんばってぇ!」

小さな声で、メグちゃんは翔くんに囁いたつもりだろうが、こんな至近距離だから聞こえていた。