【美空サイド】


優と一言も言葉を交わさないまま家に帰ってきたあたし。


何度か話しかけようと思ったけど、その度に優はあたしからわざと距離を置いた。


幼い頃からいつも優と一緒だったし、優が傍にいるのが当たり前で。


どんなときだって優はあたしのそばにいてくれたから。


いざいなくなると、寂しさで押しつぶされそうだった。



「ただいま」


扉を開けると、玄関先に見慣れない女物の靴が置いてある。


お客さんでも来てるのかな……?


あたしは不思議に思いながらローファーを脱ぐと、リビングに向かった。