僕は、王子だ

生まれた時から

生まれる前から

僕は、王子だった


その肩書きは、時に重く、時に誇り高く、僕を振り回す

1つの国の【顔】として生まれ、育ち、自分の立場を恨めしく思ったことなどなかった

恨めしい、という感情さえ、浮かばない程に、僕は王子としての自分を受け入れていた


だというのに、人はこうも簡単に、自分の過去を呪わしいと思うのか

王子の名に、僕は初めて傷をつけたくなった