テレビに映るのは、綺麗な人ばかり 華やかで、綺麗な世界に生きる人たち 憧れるだけで、手を伸ばしたりはしない ───ピッ テレビのリモコンを手にとり、電源を切る 世羅は壁の時計を見て、慌てて家の鍵を手に取る 毎日掃除して、埃1つない廊下は、走ると転びそうになる 玄関に置いておいた小さな鞄を持って、忘れ物がないかもう一度確認する 「・・・・・・よしっ」 玄関を開けて、よく晴れた青空の下、世羅は遠い異国から帰ってくる母の元へと、走り出した