もうだめだ。 その大きな手に。 低い声に、優しい眼差しに。 ―――自覚しなければならないときが来たみたい。 この人に初めて会ったときから感じていた胸の痛みは、傷つけられたときのそれとは違ったみたいだった。 締め付けられるような、心地いいような痛み。 もう恋はしない ―――ううん。 私、また恋をした。 目の前のあなたに、恋をした。 .