「なぁ、それ。面白いの?」

突然かけられた声に、魔王がそちらを向くと、扉に勇者が寄りかかって立っていた。

目があうと、勇者は魔王の座る机へと歩み寄り、魔王の手元を覗き込む。

そこでようやく魔王は、勇者を牢屋に入れさせたまま、すっかり忘れて、日々の仕事に追われていた事を思い出した。