「なになに? どうして握手なんかしてんの?」
「隼人さん! 俺、春香ちゃんと友達になりました!
ねっ、春香ちゃん!」
「うん。それで大地くんと握手を――」
美鈴と咲坂さんに向かって話してる途中、咲坂さんが口を挟んだ。
「『大地くん~!?』 春香ちゃん、こいつの事名前で呼ぶの!?」
「えっ?」
どうしてそんなに驚くんだろう。
「おい、おまえ。春香ちゃんに馴れ馴れしいんじゃないか!?」
「えっ!? 春香ちゃんは彼女じゃないんですよね!?」
「そうだって言ってんだろっ!」
「だったら良いじゃないですか!!」
「おまえっ! さっきまでの俺への服従はどこにいった!?」
「え? 俺はどちらかというと、隼人さんより楓さんが」
「なに~~!?」
言い合ってた二人は、何故かそのまま追い駆けっこを始めた。
なんだか兄弟で遊んでるみたいで楽しそう。
「ふふっ。兄弟みたいだね」
「ホント。どっちが兄かわからないけどね」
「ほんとだ」
「春香、先に食べてようか」
「うん、そうだね」
美鈴とわたしは、二人をおいて外のベンチでサンドイッチを食べ始めた。
目の前にある楽しそうな風景と、どこかひっかかってる安藤さんへの思いを感じながら。