おーい、猫さーん、どこに行くのー?
黒猫って幸福を呼んでくれるんだっけ?
ん‥‥? 宅急便の車の猫に触れると幸福になるんだったかな‥‥?
どちらにせよ、あのかわいい黒猫親子に触れてみたい。
太い路上を歩いていた猫の親子は、大きな木が生えてるところで姿が消え、そこに行くと木の陰から細い裏道が奥まで伸びていた。
こんなところに道があったんだ‥‥。
高い塀に挟まれた細道。
なんだかクモの巣がありそうで怖いけど‥‥気になる。
止まっていた足を動かし細道に入ると、なんだか探検している気分になった。
「黒猫さーん、どこにいるのー?」
驚かさないように小声で話す私の視界に、子猫の尻尾が映った。
居た――!
そう思った瞬間、黒猫の親子が塀の穴をくぐって姿を消した。
ああっ‥‥!!