バスケの練習開始まであと5分。


体育館のステージ上でストレッチをしてると、大地が一直線に俺の前に来た。


「楓さん!!」


今にも喰いかかってきそうな勢いで口を開いた大地。

その声にストレッチをしていたみんなが振り返った。



「何?」


何か文句でも言いに来たのか……?


そう思った瞬間、大地が両手に拳をつくり言った。



「俺、頑張りますよ!!」



え……。



「俺、逃げるのやめますから!」



予想外の言葉。

白い歯を見せた爽やかな笑顔の大地に目を丸くした。



さっきと別人のようになった大地は、上機嫌にストレッチを始める。



何だ……? 何があったんだ?


そう思ってると、チームのみんなに頭を下げてる春香ちゃんが視界の遠くに映った。