「……バーカ」


私だって、嬉しいのよ。

南糸と一緒の時間を過ごしたり、触れ合ったり、からかったりからかわれたり、頭に手を乗せられていた瞬間すらも、すべて幸せなのよ。


南糸は小さな幸せを星の数ほどくれる。

こんな可愛くない私に、最上の愛をくれる。


「少し寝ていいから、起きたら家に戻ろう?」


こうしている間にも、ほら、優しい言葉をくれる。


デートはいいの?

行かなくても、いいの?

私を優先してくれるの……?


私だってね、本当に今日のデートは楽しみにしていたの。

だって年に一度の、二人の特別な日なんだもの。


でもね、私、思ってしまったわ。


デートするより、今日はあなたを独占していたい。

南糸も、そう思っていてくれていたらいいな……。


未完成RABBIT/完