藤沢は、俺の幼稚園、小学校、中学校のアルバムを見ながらブツブツ言っている。


「あれ?」


「どうした?」


「美佳さんとは、幼稚園のころから一緒なんだね。写真に、全部写ってる」


「まーね。幼稚園よりもっと前から知ってるけど」


「美佳さんにとって夕斗君は、幼馴染でもありながら、本当に大切な人なんだね」


藤沢は、写真に写る俺と美佳を見てそう笑顔で言った。


「なんだよ急に、そんなことないって」


そういえば、藤沢は美佳が俺の事好きって……知ってるんだよなたぶん。


「そうかな?……すごく、お似合いだと思うよ」


――ズキ。

あ、今すっげー心臓痛いかも。


好きな奴にこんな風に言われるのって、結構くる。

美佳は、俺が告白断った時、こんな気持ちになったのかな。


「そ、そうかな。まぁ美佳とは、これからも幼馴染でいたいからな……藤沢とも」


本当は聞きたくなかった。

試すような言い方って分かっているけど、何かに期待した。


「私みたいな人を友達って言ってくれるのは夕斗君だけだね。ありがとう。私もこれからも夕斗君とは『大切な友達』でいたいって思うよ」


『大切な友達』

想い伝えてないのに失恋決定。


「う、うん……だな」


「これからもよろしくお願いします」


純粋なその顔で言われちゃ、その先言えない。

俺、藤沢の事こんなに好きになっていたのか。


兄貴……。

いつか藤沢を俺色に染めたい。



藤沢は、その日アルバムを見て帰った。