――ね、わかってくれた?
私ば健史゛と呼ばれて男の子にかすかな笑みを浮かべた。
゙さよなら゛かしら…
別にこれが初めて生きている人に話しかけられたわけではなかった。
私の噂をきいた、ただの人が
《私の死んだ妻に会わせてくれ》と叫んでいたこともある。
私には、そんな能力はないのだけれど…
そう考えているうちに
彼の母親が彼の手を引いていた。
「ほら、戻るわよ。みんなが待ってるわ。」
引こうとした手を健史君は
おもいきり放した。
「――健史っ!」
「待って、ママ。」
そう言うと健史君は私の方を向いた。
「…ぼく、゙おおつか たけし゛!おねぇちゃんの名前は?」
「――アクマだよ。」
「嘘だ!ほんとの名前は?」
「…ないわ、多分。だから"アクマ゛って呼んでちょうだい…。」
「アクマはいつもここにいるの?」
「え…、えぇ。」
「じゃぁ、明日も来るね!ばいばい、アクマ!!」

