―――ずっとこの先も… 「…人を愛す、ですか。」 「そう。」 しばらく、沈黙が続く… 「きっと、人生で一番幸せな瞬間なのでしょうね…」 私は… 人を愛したことがない。 それとも、忘れているだけだろうか。 「健史はないのですか?」 「…いや、ないから聞いているのであって…。」 健史は世でいう『体育座り』をし、頭を腕の中にしまい込んだ。 「そうですよね。だったら知ってますよね、普通。」