健史は家に着いた。





そのときはもう
全てのものが雨によって濡れていた。






―――なぁ、アクマ…




この部屋にはいないはずのアクマを心の中で呼ぶ。



―――俺は何も悪いことはしてないよな?


お前が“はい”と頷けば、俺はそれだけでいい。






健史は濡れたままベッドに飛び込んだ。



目を閉じて
アクマと出会った日々を思い返した――。