決心したのか、健史はボタンを押す。 何秒か待った後、『もしもし』のかわいらしい声が聞こえる。 『――大塚…くん?』 緊張しているのだろうか、声が震えているように聞こえた。 「…うん」 健史は黙ってしまった。 ゆきのも黙って健史の返事を待っている。