『……ない。』 「じゃー何で」 否定したあたしに、間髪入れずに質問が飛んで来る。 『恭哉がどうとかの前に、あたしはあんたを好きじゃない。』 しかも、さっき逢ったばかりだし。 だからムリ。 そう言えばその男は、あたしが驚くぐらいあっさり「あっそ。」そう言って屋上から去っていった。 …何だんだったんだ? そう疑問に思うぐらいあっさりと。 あたしの心に暗雲を残して――…。