そんな気持ちとは裏腹に。 掴まれたその手のせいであたしの心臓は、落ち着く気配なんか見せないで…。 聞こえちゃうんじゃないか、ってぐらい暴れていた。 「桃」 こんな何気ない一言でも、心臓は大きく跳ねる。 …重症だ、あたし。 「さっきはごめん。…本当は言いたいことあったんだけど…」 いいか? 背中越しに聞こえてくる、屋上とは違う彼の声。 …遠慮がちに紡がれた言葉。 それに負けて、振り向いた。