この言葉に、その仕草……


俺は洋子と初めて話した日のことを思い出した。



─────
─────────



中学二年になりたての時、俺の隣の席が洋子だった。

洋子の席周辺に女子グループ4、5人が居て、洋子が席に座れなくて困っていたんだ。



気の弱い女だな。

それが洋子の第一印象だった。



「言いたいことは自分で言えよ」



俺がポツリ呟くと洋子は視線を下にやり落ち込んでしまった。



俺は「はぁー」とため息を吐き、


「おい、邪魔になってるぞ…」


と、洋子の席周辺にたまっていた女子に言い捨てた。


俺の言葉で女子達は洋子の存在に気づき急いで退散して行った。



「新井くん、ありがとう」


「いや、別に…」



俺は柄にもなく照れた。


なんなんだ…


その日から俺は洋子はよく話すようになって距離が短くなっていった。