通帳を渡しに来てくれた時にアズマさんは小声で言ったものだ。

「あれこれどんな手口を使ったかは答えられないから聞かないで。
まあ色々ツテがあるのよ」

「はい、訊きません。フフッ」

ワタシ達は視線を合わせて共犯者のような笑みを交わした。

「ところでまだ解決してない問題として、この家と土地はどうするの?
このまま一人で住む?」

それについてはもう決めてあるんだ。

予定通りのちょっと寂しそうな表情を浮かべて淀みなく応える。

「この家は一人で住むには広すぎる。
それに色々思い出しちゃうから…

だからここは売りに出してワタシはどこかアパートでも借りようと思ってます」

「そう、それがいいかも知れないわね」

なにしろアズマさんのおかげでお金あるしね。