『君江さん、私ね生活費に困ってるの……。お父さんにも克也にも内緒で貸してくれないかしら?』


『君江さん、また今月も足りないの、送ってくれないかしら』


『君江さん……』


 君江の携帯電話からは、姑が君江にお金の催促をしている声が次々と流れた。
 一同はあっけに取られており、姑は目を見開き固まっている。
 克也や舅も知らなかったことなので、驚きの色を見せた。

 君江は携帯電話の再生が終わると、勢いよく立ち上がった。
 我慢の限界だったのだろう、怒りを爆発させたのである。


「ふざけんじゃね~よ! おいババア! こんなこともあろうかと録音しておいたんだよ。てめ~が私に金の催促してたんだろ。人のせいにしてんじゃね~よ! 御祝儀のこともやっと分かったよ。てめ~がネコババしてたんだろ! 白状しろ」


 すると真っ先に舅と克也が姑を強い口調で問うた。


「おい、どういうことなんだ! お前は裏でこそこそと。御祝儀もネコババしてたのか!」


「何でもかんでも君江のせいにしやがって!」


 姑は観念するのかと思いきや、開き直った態度を見せたのである。


「お金が必要だったんだから仕方ないだろ! どいつもこいつもうるさい」


 騙されていた親戚一同は、姑が暴言を吐いた瞬間立ち上がり、全員で姑を責め始めた。
 そして、親戚達は君江に謝罪してきたが、君江の興奮は収まらない。