……わからないことばかりだった。

 なぜ、今になって、赤髪の男が僕の前に現れたのか。

 僕の他に、生きている吸血鬼はいるのか……

 大槻刑事は、既に、僕が人では無いことを前提に話をしているようだった。

 現在の日本の……というか、先進国、と言われているほとんど全ての国は、人間以外の知的生物を認めていない。

 そのはずだった。

 だから、大槻刑事の発言は、いちいち腑に落ちない。



 他にも、判らないことがある。

 三日前ぐらいからこっち、どうも調子が悪かった。

 頭痛が続き、いつもだったら、つかめるはずの気配が、感じにくかった。

 最初は、血にあたったのかもしれないと思っていたけれど、それにしては長すぎた。

 つい先ほどでさえ。

 主に探っていたのは、赤髪の男の気配だったが、後ろからやって来た大槻刑事の……人間の気配に気がつかなかったのだ。