「そんな言葉で騙そうっての?」

「騙す!?わしがか!?江戸に行くことを黙ってたんは謝る!すまん!!」

「違う、そういうことじゃない。」


またアタシの目に涙が溜まる。


「違うんだよ・・龍馬。」



さっきとは大違いで急に静かになったアタシを見た龍馬は余計にオロオロする。



「ぁ!わかったぞ!おまんも行きたかったんか!」

「違うよ、本当にわからないの?」

「~~~~ッ!・・・すまん。」



龍馬は俯いてしまった。


「なんでアタシに一番に話してくれなかったの?」

「すまん、でもさっき黙っとったんは謝ると言ったがぜよ。」

「そうじゃないよ。」

「じゃぁ、なんじゃ!?」


とうとう痺れを切らした龍馬が逆ギレしてアタシに聞く。



「どうして加尾ちゃんには話してアタシには話してくれなかったの?」





龍馬は「それは・・・」と言って黙ってしまった。


たった、20センチの2人の間。

たったそれだけなのに、嫌に暗くて静かな空気が流れる。

とうとう、龍馬とアタシの視線が外れてしまった。