志穂の白目には三白眼の黒目が戻り、自分の指を食い入るように見つめていた。



そして突然自分の体をまさぐりだした。



その手つきはとてもなまめかしく、いやらしいもので、志穂は興奮したように荒い吐息を漏らしていた。



唇から頬。頬から首筋。首筋から乳房。乳房から腰。



志穂はあますところなく撫で回した後、今度は自分の体を抱きしめるように両手を交差させた。




それから10分くらい経った頃だろうか。




抱きしめるのをやめた志穂は鏡を見つめ、ウットリとした表情を浮かべながら呟いた。







「志穂、愛してる」








その声は孝之が志穂に向けて囁いた愛の言葉と全く同質のものだった。









 『寄生虫』 END