寄生虫

志穂は重い体をほふく前進で引きづりながら、必死にあるところに向かった。




志穂が向かった所は孝之の所だった。




湯舟のへりに手をかけた所で、志穂の首筋に凍えるような寒気が走った。




ずるずる。





ずるずる。




虫が志穂のかかとを登り、膝の裏側をくすぐるように足を動かし這っている。




ずるずる。




虫は少しずつ、少しずつ、志穂の『ある部分』を目指して、体を登っていくのだ。