「角があった方がって……まさか、鬼の関係の方ですか?」

 犬助は、男が角を平素のものとする生活を送っているのかと怯えた。

見たところ、彼の額に角はないようだが、色素の薄い髪色は異人じみている。

「あ、いえ、そういう訳では御座いません。鬼退治に赴くと聞いたれば、もっと逞しい御仁かと……」

 退治されては敵わないと、慌てた様子で若い射手は弁明した。

「ああ、申し遅れました。俺は、雉ノ進と申す者で、桃子殿の供を命じられ参上いたしました」

 雉ノ進と名乗った青年は、桃子の前で膝をついて見せる。

 慌てたのは、犬助だ。