むかし、むかし。

 そんな言葉で始まる、無数の物語の一つだった。

 ありふれた、語りはじめの物語だった。



 むかしむかし、あるところに、お爺さんがおりまして。川で洗濯をしておりますと、川上から大きな桃が、どんぶらこどんぶらこと流れて参りました。

 拾う御爺、生まれる赤子。

 生まれた少女は、桃子と名付けられました。


 桃子は活発な子で御座いましたから、針と糸を持ちますよりも刀を振るっていた方が楽しかったようで御座います。

 身のこなしは風のように軽く、

 繰り出される剣の苛烈なこと、鬼のごとく。

 そうした話が御上にも伝わりましたのでしょう、とうとう、仰せつけられたの御座います。

 何をって?

 薄々、お察しで御座いましょう?