刀が走った。

 鋼が鋭くきらめき、男を襲う。

 剣が男を求めているようだと思った。

 突き動かされた。

 怒りなどなかった。恨みも嫉みも、おおよそ負と思しき感情は一つも見当たらなかった。

 なら、私を突き動かすものは何だろう。

 一瞬、そんな問いが過ぎったが、すぐに消えた。どうでもよかった。

 男が渾身の剣撃を、真っ向から受け止める。

 理由など、どうでもよかった。

 魅せられていた。

 交わった刃から火花が飛ぶ。

 ああ、私は――――