ハムパンマン

握りこぶし一つ分しかない僕の頭でも、カバ吉くんが行きそうな所は一つだけ思いあたる場所があった。






それは今日僕がカバ吉くんに言ったこと。






お腹が空いたらハムおじさんのところに行けばいい。






その言葉を信じてカバ吉くんはハムおじさんのところに行った可能性がある。






「先生! わかりましたよ。きっとカバ吉くんはハムオジさんのところにいると思います。だから安心してください」







「ハムおじさん……」







先生の顔は安心どころかますます暗雲が立ち込めていく。







確かにこれはあくまで推測でしかない。安心するのはまだ早いのかもしれない。






「先生、大丈夫ですよ。きっとカバ吉くんはきっと見つかりますよ」






「ねぇ……ハムパンマン」




「はい。なんでしょう?」



「私ね、ずっとあなたのことで疑問に思ってたことがあるの」





「何でも答えますよ」
 




ウサミ先生はしばらく言いづらそうに口元を手で覆っていたけれど、僕の表情を伺いながらおそるおそる口を開いた。





「子供がいなくなる事件が初めて起きたのってね、実はあなたが生まれた時期と同じ、3か月前なの。
それでね、人間ってもうハムおじさんしかいないじゃない? それで私たち動物はみんな仲良しだから、パンとか野菜とかしか食べないようにしてるじゃない?
……じゃあさ、ハムパンマンのハムって何の肉?」