空を飛ぶ魚

今頃あの気まぐれ屋は、一体どこをほっつき歩いているのだろうか。

というより、単位は大丈夫なのだろうか。

かなりの勢いでサボってばかりなのだけれど。

きっと、何も考えていないのだろうな。そーいう人だ。

心配するだけ損だ、どうせ、相田君はどうにかしてしまう。

呆れてしまいつつも、彼のことを時々羨ましく思う。

自分の好きな時に好きなように動く、そんな彼の生き方が、たまらなく羨ましい。

きっと、この教室の中にいる誰にも、あんな生き方はマネできないだろう。

籠の中から出ようとしない鳥には、空を飛ぶ資格なんてないんだろうな。

窓の外を飛ぶツバメを見ながら、そんなことを考える。

まぁ、どっちの生き方がいいかだなんて、誰にもわからないんだろうけど。



そんなことを考えている間に1時限目は終わり、2時限目でまた相田君について聞かれ、1時限目と同じく適当に答えて、また窓の外を見ながら過ごした。

窓の外に相田君が現れることはなかった。