空を飛ぶ魚

「……おかえり?」


よくわからないまま返事を返すと、彼はうん、と頷き、手に持っていたビニール袋を手渡してきた。


「お土産」


「あ、ありがと……」


お礼を言うには言ってみたが、あぁしかし一体どう反応するのがいいんだ、これだから彼は謎なんだ。

困っている私を気にも留めず、相田君はすたすたと歩き出した。


「ちょ、待って……」


引き止めるつもりで声をかけたのだが、彼がそれで止まるような人間じゃないくらい、私はわかっていた。

袋の中身の確認は後回しにして、彼に走って追いつく。

相田君は相変わらずボーっとした顔をしているが、朝よりもどこかすっきりとした表情になっていた。