小さな魚達が、クルクルと泳ぎまわってる。

二人とも無言で眺めているけど、手だけは、しっかりと握っていた。


ぎゅっと握ると、同じくらいの力で握り返してくれる。

言葉とかはないけど……隣にいてくれるだけで、すごく安心した。



「杏……」

「なあに?」

「これから…進路どうすんの?」


静かにゆっくりと落ち着いた声で尋ねられる。


進路……かぁ………。

もう高3だもんね。

いよいよこれからの道を決めなきゃいけない。



「お父さん達の会社を継ぎたいから、大学に行くよ」

「どこ?」

「お父さんの母校……T大。」


先生達にも勧められている大学。

会社継ぐなら、T大出てた方が良いかなって思うんだ。