あたしの目の前まで来ると、一度頭を撫でて……柔らかく微笑む。


“もう大丈夫”

そう言ってくれたような気がした。


「り、陸っ! ち、違うのよ!?」

「何がです?」

口元は笑みを浮かべてるけど、目が笑ってない。

相当……怒ってる。


「私、彼女に何も言って……」


“ない”って言おうとしたんだと思う。

だけど。

陸が彼女に向かって、何かプリントの束みたいなモノを見せて、言葉を遮った。


「……何もしてないと、これでも言えますか?」

「……っ!?」

二宮さんの顔が青ざめていく。


陸が見せたモノ。

それは───。


「全部で、12000通以上の暴言メール。これを見ても、彼女には何もしてないと言えますか?」



あたしの携帯に送られてきたメールのコピー。