じいちゃんの顔は知らなくても、両親の顔は知っていたらしい。



「え……あっ……」

口を金魚のようにパクパクとさせている彼女。


「お父さん……どうして……」


家族達の突然の登場に、びっくりしてしまう。


「うん、彼から頼まれてな」

ポンポンとあたしの頭を軽く叩いた。


彼……? それって……。


「ようやくわかりましたか? 彼女の素性」


柔らかい口調だけど、怒りが含まれた声。

静かになった会場内に、靴の音が響く。


「彼女は、神崎財閥のご令嬢ですよ」


足音が止まったと思ったら、閻魔大王に変身した陸が現れた。


「えっ……ウソっ……」


信じられないという表情の二宮さん。