繭ちゃんのボサボサの黒髪を、手ぐしで整えてあげる。

前髪が伸びて、ちょっと顔が隠れていたんだけど……。


「ヤバ…………可愛すぎるんですけど……」


髪をよけて、見た素顔は……めちゃくちゃ可愛い。

クリッとした大きな瞳。

顔の大半は目じゃないかな……。

色白で、ぽっぺは柔らかい。

パクって食べちゃいたいかも。

睫毛もびっしり生えてて、長い。

小さな鼻と唇が可愛すぎる。


ホントに妖怪……?

子供のモデルに出したいくらいに可愛いんですけど……。


「杏樹ちゃん……ケガしてる。ごめんなさい……」

「へ?」

繭ちゃんの容姿に見とれていたら、小さな手があたしの頬に触れた。

どうやら……破片で切ったみたい。


「大丈夫だよ、痛くないし」

頭を撫でてあげると、あたしの首筋に顔をうずめる。


その時。


ガラッ────


教室の扉が開いた。