なのに、コイツったら……。

あたしの腋に手を差し込んで、持ち上げた。


「ちょっ!?」

「行くぞ」

抱っこされて、下へ続く階段を下りる。

器用にリビングのドアを開けて、中に入った。


その場にいた家族全員に注目される。


「あ、杏樹!?」

「ひぇ~~」

陸に抱っこされてるところを、お父さん達に見られるの恥ずかしいよ!

真っ赤になる顔を隠すように、胸にうずめてくっついた。

寝たふりしようかな?まだ間に合う?

いや、もう無理か。声出しちゃったし。


「降ろして!」

「ヤダ」

小声で頼んでみるが、即答で却下される。