クスクスと笑う。

反対に、俺の体からは血の気が引いていくのを感じた。

杏の余命があと3週間?

ウソだ。

そんなわけない。


「ウソだと思ってるんでしょ?本当だよ、あんじゅちゃんはあと余命3週間」


“もっと早く死んでほしい?”

俺にはそう聞こえる。


「わたし、あんじゅちゃんが欲しいんだ。黄泉の世界に連れていっても良いでしょ?」


そんなん……「はい、どうぞ」って言うわけねぇ。

大事な宝物を簡単に渡すかよ。


「あんじゅちゃんは、来てくれるんだって。おにいちゃん……良いでしょ?」

「やらねぇ」

「もう遅いよ。3週間後、迎えに来るから」


それだけ言うと、スーッと繭は掻き消える。


「……また……増えた……」


杏の右腕に、ひとつ赤い手形をつけて。