誰かに呪われてるから、俺のことが見えないのか?


「……杏樹の両腕の傷と手形。陸君……何か知らない?」

「いえ……知らないんです」


お母さんから尋ねられたが、知らない。

ということは───……杏の家族も、傷や手形のことは知らなかったんだな。


隠してたのか?

一体……何のために?


「柚莉ちゃんにも、黙ってたのよね。どうしたのかしら?」


首を傾げるだけで、誰もわからなかった。



親父さん達と別れる。

杏が、目を覚ましたため…警察や東雲の方へ行かなければならないらしい。


俺一人で、病室に入った。


「……っ……っっ…」

思わず、目を覆いたくなる。


杏には俺の姿……見えてねぇんだもんな。

じゃなきゃ……あの恥ずかしがり屋のコイツが、人前でキスなんてするわけない。