松沢が杏に抱き着いた。


「すっごく心配したんだからぁ〜〜!!」

「ごめんごめん……もう大丈夫だから」


泣き出す松沢を杏が宥める。


「…大丈夫じゃないだろ。3階から飛び降りて…こっちが心臓もたねぇ」


杏らしいな…。

会長はそういってるが、杏は「するな」と言っても…一度決めたら変えない。

ノミの心臓じゃ…杏と一緒にいるのはムリだ。



「杏樹、滝本君にお礼言いなよ?時間のある限り、ずっと傍にいてくれてたんだから」


松沢が、俺を見ながら…杏に告げた。


「……あ……うん」

「ほら!」

松沢が促すが、杏の視線が、俺に定まらない。


そして…驚愕する一言を言ったんだ。



「……でも、陸……ここにいないじゃん。なんで、本人いないのに言わなきゃならないの?」

「え………」



頭がフリーズした。