会長に話していくにつれて…心が少しだけ軽くなる気がしていた。


腕の傷と手形のこと。

毎晩の夢のこと。

二宮さんのこと。

陸のこと。


会長は、ただ黙って…あたしを見つめたまま聞いてくれた。


「他人に話せば……少しは楽になるだろ」


それだけしか言わなくて…あたしのことを肯定も否定もしなかった。



「今、どうして欲しい」

「………」


話し終えた後に、突然問い掛けられる。


「…どうしたい」

「………」


優しい目のまま…あたしの頭を撫でた。


「……頼れ」

「………っ……」


会長の声が、涙腺を崩す。

ぽろぽろと今まで我慢していた涙が頬を伝った。


「ようやく泣いたな」

フッと笑った会長に、優しく抱き寄せられる。