じいちゃんやお父さん達にもバレたくないから、術を何重にもかけて隠してる。

お陰で、今のところ誰にもバレてない。

柚莉だって気づいてないんだから。


傷と無数の手形。

一般の人が見たら、恐ろしすぎて震えそうだけど、あたしはもう怖くなくなった。

あれほど、毎晩怖がってたのに。

“繭ちゃん”の存在を認めたときから、怖くなくなった。

毎晩、あの夢は見るけど……怖いとは思わなくなったの。


「……お迎えこないのかな?」


包帯を巻き直しながら呟く。

お迎えっていうのは、“繭ちゃん”のいる世界からのお迎え。

黄泉の国からの………。

お迎えが来たら、あたしが逝く代わりに被害者3人を元に戻してくれるように、頼んでみようっと。

そしたら、仕事は終わるし……要らないモノもいなくなるから。

陸にとっても、二宮さんにとっても、ハッピーエンドで終われるよね。



フフフ…と笑って、包帯を巻き終えた。


ボーっとしていると、また携帯が鳴る。