その時────。

あの夢が脳裏をかける。


「“繭ちゃん”………」

1人きりになりたい。

誰もいないところへ行きたい。

“繭ちゃん”と一緒に行っても…良いかもしれない。


「………っ…っ……」


あの傷が痛みだす。

まるで“繭ちゃん”が、あたしの言葉に反応するように。

術を使って、周りの人には見えないけど……白い包帯に赤い血が滲み出てきた。


「“お迎え来てもいいよ?”」


脳内をあの童謡が埋め尽くす。


“力”のあるあたしが、そんな言葉を口にして…どうなるかってことくらい、わかってた。

けど、本気で“お迎え”が来ても良くなってきたの。



「………要らないモノだから」



目を閉じると、温かい涙が頬を伝った。