あたしの言葉に、呆れた顔で黙り込む柚莉。


「鈍感すぎるってのも、会長に失礼よ?」

「はい?」

「会長の好きな子って、わからない?」

「うん」

「……はっきりと言われたんじゃないんだから…私が口にすることじゃないわね」


フッとわずかに笑って言うと、柚莉はアイスティーに口をつけた。

それ以降、会長の好きな子については、何も言わなくて…。

あたしはわからないまま。



会長……好きな子いるのに、あたしにキスなんかしちゃだめだよね。

あ、もしかして……あたしが浮き輪から落ちたから、人工呼吸のつもりだったとか?

えーーそこまでするまで溺れたりはしてないと思うんだけど。

会長って仏頂面のわりに、優しいからなぁ~。

助けようとしてくれたのかも。

この前の仮眠室でのことみたいに……眠れなかったあたしを寝付かせてくれた。

ヒンヤリとした会長の手は、すごく安心できたし、心地良かった。


どうしてかな?