「で?滝本君本人には、確認してないのね?」

「………うん」

小さく頷く。


あの電話から、数日後の土曜日。

事情を説明して、柚莉ん家を訪ねた。

おばさんが出してくれたアイスティーを飲む。


「私は、あり得ないと思うんだけどなぁ~」


柚莉が言ってるあり得ないことというのは、陸の『浮気』。

浮気って言葉を頭に浮かべただけで、心が重くなった。

あたしだって、浮気なんかだと思いたくない。

でも………あの女の人。

あたしより幾分か年上で、大人の女って感じだった。

声からして落ち着いてたし………。


「杏樹も、苦労が尽きないわね。この前やっと楠家の令嬢とのことが、片づいたってのに」

「ほんとだよぉ~~」


大きなため息をつきながら、テーブルに伏せる。