嫌がられるかな……?とも思ったけど、会長があたしの手を振りほどくことはなくかった。

そのまま頭を撫でてくれて……。


次第に瞼が重くなってきた。

会長のシャツの輪郭がぼやけてくる。


「……かいちょ………」

「なんだ」


優しい声音に安心して、続けた。


「………ありがとう……」


それだけを呟くと、意識を手放す。

しっかりと、淡いブルーのシャツだけは握りしめてーーー。











この時見た夢は、あの夢ではなかった。

優しい手に頬を撫でられて、指先が唇に触れる。

すると、あたしの顔を覆うように影が降りてきた。


「…………好きだ」

そう耳元で呟くと、何か柔らかいものがあたしの唇に触れる。



不思議と…………幸せな夢だった──────。