腕時計で時間を見る。

まだ寝かせてから、14.5分しか経ってない。

「どうした…眠れなかったか?」

腰近くまである髪を撫でながら、耳元で問い掛けた。

コクリと頷く杏…。


「…安静にしてなきゃ、また熱上がるぞ?」

額に手を当てて、熱を測る。

さっきより、上がってるな…。


「……陸が…いなきゃ……眠れないよ………」


ぽつりぽつりと、俺の制服のシャツを握りながら呟いた。


あ―…そうだったな。

1年の時から、怖いことや…イヤなことがあると、必ず俺に、抱きしめてもらわなきゃ…眠れない。


「………抱っこがいい……」

胸に顔をうずめ…小さな声で、お願いをしてくる。

「……さっき…ちゅーしてくれなかった……」


おいおい…杏ちゃん。

熱で、大胆になってねぇか?