俺が、頭を上げると…

「じゃあ…説明してくれるのよね?」

朝比奈が、真剣な目で、見返してきた。

「あぁ……すべて…説明する」

コーヒーを一口飲む。


落ち着いたところで、話し始めようとした時…。


ガチャ………


「未子?」

目が覚めたのか、自室から杏が出てきた。

朝比奈が名前を呼ぶが…耳には届いておらず、キョロキョロと目を動かす。

杏が、口パクで、何かを呟いた。


「杏。」

ソファーから立ち上がり、両手を広げる。


「……あ……」

キョロキョロとしていた目が、俺を捉えてピタリと、止まった。


“陸……いた………”

そう口パクで呟くと、パタパタと小走りで駆け寄って来て…ギューっと抱き着かれる。

どうやら、目が覚めた時に俺が傍にいなかったため…探しに来たようだ。