念のため…零が右腕もカーディガンを捲り上げる。

「キャッ!」

思わず…悲鳴を上げた。


「…昨日見た時は、なかった」


右手首には、くっきりと子供に掴まれた手形の跡が、ふたつある。


倒れた未子の傍で、お嬢様は、別の意味で…ガタガタと震えていた。


「石黒さん?」

「わたくしじゃない……悪くないわっ……」

「あなたが、未子を突き飛ばしたの?」

「お願いっ……“あの方”には言わないで…パパの会社が…っ…」

未子の顔を見て…顔面蒼白の石黒というお嬢様。


「………“あの方”…?」

話が見えず、首を捻る生徒会一同。



騒ぎを聞き付けた教師達が、ぞろぞろと集まってくる。

事態を重く見たのか、すぐさま…救急車が呼ばれ、近くの救命救急センターに運ばれた。