でも、陸から返ってきたものは、予想外だった。


《んなんじゃねーよ。………杏、大丈夫か?》

「………っ……うん」

《ホントか?変わったこと起きてねぇのか…?》

「うん、大丈夫だよ。平和です」


明るめのトーンで返す。



でもホントは───

大丈夫じゃないよ。

今すぐに、会いたい。

温かい腕で、抱きしめてほしい。

頭…撫でてもらいたい。

陸の温もりがほしい。


なんか……怖くてたまらないの。

何か…イヤなことが、起きそうな予感がする。



《何もねぇなら良いんだけど…。何かあったら、すぐに連絡しろよ?》

「うん」


頬を伝う涙を手で拭いながら、口だけは、元気良く返事をする。

《じゃあな》と言って、陸との通話を切った。